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text by 小野慎一郎
 

第19回 FFWD Records、Marmalade Records(インドネシア篇その2)


 今回は2つのインディーレーベルを中心に、インドネシアのインディーシーンのアウトラインを無謀にも描いてみようと思います。

 まずはMoccaが所属するFFWD (Fast Forward) Records。Moccaの地元でもある西ジャワの中心都市バンドゥンを拠点にするレーベルです。バンドゥンって古都なので文化都市で、大学がやたらといっぱいある若者の町として音楽がかなりさかんなようですね。そんなわけでインドネシアのインディーは一貫して、首都ジャカルタではなくこちらが中心。FFWD Recordsは例によってClub8にedsonといったスウェーデン勢や、The Cherry OrchardにIvyなどのカセットをライセンス発行。さらに日本のインディーからも800 Cherriesを出しています。なんとマニアックな(笑)。そのような海外とのコンタクトを持っていたことが、Moccaがこのレーベルを選ぶ決め手となったとか。

 インドネシアのバンドとしてはMoccaのほか、ビョークのアルバムから名前をとった3人組エレポップのHomogenicが所属。1stアルバム「Epic Symphony」を聞く限りでは、ビートが効きすぎた中華歌謡っぽい雰囲気がややあって微妙なんですが、地元ではMoccaと同じくいろいろ賞なんかも獲ってて評価されているみたいですね。箱型のCDジャケットが、これで採算とれるのか?ってくらい豪華。このレーベル、どうもそうとうお金持ちっぽい(笑)。

 つづいて首都ジャカルタ拠点のMarmalade Records。日本ギターポップ界の良心Quince Recordsから、2003年12月に前代未聞のインドネシア・インディー・コンピ「pop shower」を出したレーベルです。このコンピがまた良くてねぇ。The Cardigansから(正確にはそのファンサイトから)名前をつけたThe Sweaters(うーんそのまんまだ・笑)、コンピの他の曲のプロデュースにも関わるJoseph SaryufのソロShowbiz、MarmaladeからCDを出しているBlossom Diary、コンピ唯一の女性ボーカルが美しいSanta Monica、The Sweatersの別バンドMontecarloの5組とも、どれもさわやか一直線で驚くことしきり。

 なかでもThe Sweatersは、ソフトなボーカルといいジャコジャコしたギターといいメロディーの進み方といい、ネオアコ中のネオアコってかんじ。サビだけツインボーカルになるのもまた良し。さらに良いのがMontecarloで、パッパラコーラスにギターのキレにドラムの疾走と、もうわざとやってるとしか思えん。「i knew it」という曲はインディーポップへのトリビュートソングだそうなので、わざとですね(笑)。Montecarloの作曲をしているFrederickは、Ballads of The Clicheというバンドもやっていて、2004年には「Hey Smiley!」というEPも出している様子。ベルセバの影響を受けてるんだって。聞いてみたい!

 Santa Monicaも、「through my days」は高速ボサのアレンジがすばらしく、もっと聞きたいと思わせてくれます。コンピのライナーには残念ながら解散と書いてありますが、2004年に入ってからも2回ほどライブに出演しているので、なんらかの形で続いているもよう。ラッキー!Marmarade Records、他にもClub8のカセットを出しています。またClub8だ(笑)。

 ところでMarmalade RecordsのHPはいかにもヘボいのですが、インドネシア・インディーポップシーンの歴史についての文章があって(現在リンク切れ中)、なかなか貴重なことを教えてくれます。その文章によると、1995年にブリットポップの影響を多大に受けたPure Saturdayというバンドがヒットしたのをきっかけに、バンドゥン中心に最初のシーンが興ったとのこと。インドネシア・インディーのバンドの多くが彼らをフェイバリットに挙げているところからも影響のほどがうかがえます。Pure Saturdayは2004年に久々のアルバムをリリースしたので、これも聞いてみたいですね。他にもCherry Bombshell(Mocca、Blossom Diaryと3バンドで共演したこともあり)、Bangku Tamanatあたりがよく挙がっている名前で、どれも音を聞いて確認したわけではないのですが、参考になるかもしれないのでいちおう書いておきます。その後ブームは下火になり一時期ほとんど聞かれなくなったものの、最近になって大学生を中心にインターネットが普及。ネットを通じてインディーポップというものをはじめて知った人達が、バンドを次々に始めて現在のシーンを作っているとのこと。

 90年代前半におこったインディーシーンが90年代末までに一度ガタガタになり、ここ2〜3年で急速に復活しつつあるってのは、実はタイや香港も同じだったりします(日本だって例外ではない)。お互いに知らないうちに平行した現象が起こっているっていう不思議には、本当にゾクゾクしますよ。こういう発見があるから、いろんな国の音楽を探すのは楽しくてやめられませんわ。ところでFast Forwardは早送りで、香港the pancakesのrewind recordsは巻き戻し。100%偶然だと思うけど、なんか面白いです。


 FFWD Records HP【http://www.ffwdrecords.com/
 Marmalade Records HP 【http://www.marmaladerecords.tk/
 The Sweaters HP 【http://www.thesweaters.curvedspaces.com/

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V.A. / pop shower (Quince Records)
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